浮気の何が悪い。


 「酷いよ・・・信じてたのに・・・」


女は泣きじゃくって嗚咽を漏らす。
俺は自分の思う通りに行動しただけじゃき。


「おまんじゃもう勃起せん」


聞いとんのかこいつ。
あー面倒くさか。


 「じゃあな」
 「・・・待って」
 「何じゃ」
 「最後にキスして」
 「すまんのう」


そんな酷い顔でよく言えたもんじゃな。
その女に背を向け、その場をあとにした。
一週間が限度じゃのう。
暇潰しには丁度よかったがの。






失恋初恋失恋恋れんれんんん







部活開始前、レギュラー数名が着替えをしている中である男が急に声を上げた。


 「うぉお!まままじかよ!!」


(騒がしいのう)


 「どうした、赤也」


着替え終えたジャッカルが声をかける。


「どうしたもこうしたもないんすよ!!」あたふたと身振り手振りで説明するものの、いまいち伝わらず、ジャッカルが困る。
そんな中、暢気な丸井が言った。


 「2年の可愛い子に告白したらOKだってさ」
 「何ていう子なんだ?」


ジャッカルが興味ありげに問う。
丸井が名前を伝えると、そいつが有名人なのか、すげぇな!と歓声を上げた。


 「仁王、知ってるか?」

そいつのことについて聞いてきた。


 「知ってるもなにも」
 「お、お前まさか・・・!!」


どんな想像したのかは知らんが、ジャッカルは驚きを隠せないようだ。
くるくると表情を変えるこいつは弄り甲斐がある。


 「そういえばつい最近まであの子俺らの教室来てたよな?」
 「ま、まさか・・・!!」


まるでジ○リのように毛を逆立てる赤也。
こいつは怒らせると危険じゃ。



 「ただの元カノじゃ。もう関係なか」
 「あいつ何にも言ってなかった・・・!!」
 「別におまんに言うことじゃなか。過去は過去じゃ」
 「でも元彼が先輩だったら話が違うっスよね・・・?!」
 「今あいつが好きなんはおまんじゃ。大切にしてやらんとな」


ラケットを持ち、部室を出た。
危ない、危ない。充血しかかっとった。
ああでも言わんと何されるか分からんからのう。
それにしてもあいつ、俺の次は赤也か。
別れて一週間も経ってないんにとんだビ○チやの。


クックック


思わず笑った。


 「仁王くん、今日は機嫌が良いですね。何かいいことでもありましたか?」
 「何でもなかと。クックック」








翌日、昨夜レイトショーを見たせいか一時限目の授業に遅刻した。
まぁ、音楽だから問題なか。
ゆっくり歩いて教室に入ると、誰も人がいなかった。
音楽だから当たり前かの。


自分の席に座り、だらしなく机に足を置く。
が、することもない為、携帯ゲームを始めた。


テトリスを始めてからしばらくして、教室に誰か入ってきた。
同じクラスの女。
確か名前は、


 「・・・じゃったっけ?」

こっちを見る。


 「仁王だったっけ?何?」
 「遅刻か、良いご身分じゃの。重役出勤ってやつか」
 「保健室行ってたんですけど。その言葉そっくりそのままお返しします」
 「・・・プリッ」


沈黙が訪れる。
凡人の癖に腹立つやつじゃ。
あ、いいこと思い付いたぜよ。



 「、俺の愛人にならんか」
 「なってやってもいいけど」
 「変なやつじゃのう」
 「その代わり私にはもう一生話しかけないで」
 「ほう、そうきたか」


勝気な女は嫌いじゃなか。
机から足を下ろし、適当な紙とペンを鞄から出す。
その紙にメールアドレスを書いた。
それを持ち、斜め後ろにあるの席へ。


 「メールしんしゃい。今日からおまえさんは俺の愛人じゃ」

は無言でそれを受け取ってポケットに放り込んだ。


 「メールしないと話しかけるけぇ」


依然ツンとした態度で、こちらを見向きもしない。
面白くない女じゃ。
それがまた興味をそそられる。
また、ずるずると重い足を引きずって席へ戻った。




丁度授業が終わったのか、クラスメイトが教室に続々と入ってきた。
憂鬱じゃの、群れは嫌いナリ・・・。




欠伸を一つ、二つ、するたびに頭が重くなる。
グラグラする頭を一生懸命動かしてノートをとったり、たまの休憩で寝たり。
いつものように一日をそれで乗り切る。




授業が終わったと思ったら、次は憂鬱な部活。
いくら寝ても足りない。
まだ頭が重い。


部活に向かうために廊下を歩いていると、前方から幸村が。


 「おう、部長。調子の方はどうじゃ?」
 「今の仁王よりは全然元気かな。どうした?顔色が悪いよ」
 「部活、休んでもええか」
 「そうだな、その体調じゃ部活できそうにないな。お大事に」
 「すまんな」


幸村に心配されるなんてよっぽど顔色が悪いんじゃの。
生理でも来たんじゃなか。
妊娠してなくてよかった、なんつって。




いつからか、気づかないうちに鼻をすすっていた。
これは、完全に風邪、じゃの。
すすってもすすっても出てこようとする鼻水。
ティッシュなんて持っとらんし。




 「あんた、風邪?」




後ろから声がした。
聞き覚えのある、確か・・・
振り返るとそこに、ついさっき愛人になったばかりのが。
ほう、自分から話しかけてくるとは。




 「ティッシュ持っとらんかの」
 「持ってるけど、あんたにあげるティッシュなんて1枚もない」
 「そんなにツンツンしなさんな、愛人ならそれくらいしてくれたっていいじゃろ」
 「あー、わかったわかった、じゃああげる」
 「助かるぜよ」
 「その代わり愛人ってのやめてくれない?気色悪い」


はポケットから可愛げのない広告付きのティッシュを取り出し、乱暴に投げた。
全く、可愛げのない女じゃ。
ますます気に入った。


 「ありがとさん、、お礼に俺の恋人にしちゃる」
 「馬鹿なの?」
 「なんとでも言いんしゃい、俺は恩を仇で返す様な真似はせん男じゃ」
 「どーだか、立海1のたらしさん」
 「なんでも1番にならんといけんってじーちゃんから教わった」
 「きっと今頃天国のおじいさんは泣いてるよ」
 「まだ生きとるわ」



が少し笑った。
意外とめんこい顔するのう。


 「部活休んだんじゃが、家来るか?」
 「行かない、風邪移る」
 「なにも密着するなんて言ってないじゃろ」
 「一緒の空間にいるだけで移る、あーなんか咳出てきた」




わざとらしく咳き込む。
先程の可愛らしい表情はなく、いつものムスっとした表情に戻っていた。
見てて飽きない、本当面白い女じゃ。




















こいつが、ブンちゃんの女じゃなかったら襲ってたぜよ。








背を向けて遠ざかるの奥には、赤色のが立っていた。
さすがに手ぇ出せん。
俺も弱くなったとか、考えながら、鼻かんだ。








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仁王さんはぴば!
失恋になってごめんよ


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